[Part1] コラーゲンの可能性
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今回は、保湿に欠かせない原料「コラーゲン」について理解を深めていきましょう。
これから乾燥シーズンになっていくにつれて保湿ケアは大切ですよね。まずはお肌の構造とコラーゲンの関係性を見ていきましょう。
【第一部】その常識、もう古い?「コラーゲンは浸透しない」のウソとホント
「コラーゲン配合」――ハリと弾力のある肌を目指すなら、誰もが一度は手にしたことがあるスキンケア成分ではないでしょうか。しかし同時に、「コラーゲンは分子が大きいから肌に浸透せず、塗っても意味がない」という説も根強く囁かれています。
一体、どちらが本当なのでしょうか?
このコラムでは2回にわたり、美容成分の王様・コラーゲンの真実に迫ります。第一部では、肌におけるコラーゲンの重要な役割と、なぜ「浸透しない」と言われてきたのか、その科学的な理由を紐解きます。
肌のハリは「真皮の7割」を占めるコラーゲンで決まる
私たちの肌は、外側から「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層で構成されています。その中心にある「真皮」こそが、肌のハリと弾力を司る土台です。そして、この真皮の約70%を構成している主成分が、何を隠そうコラーゲンなのです。
コラーゲンは、3本のアミノ酸の鎖が縄のように絡み合った「トリプルヘリックス構造」を持つ強靭な繊維。これが網目状に張り巡らされることで、肌は内側からしっかりと支えられ、若々しいハリを保っています。
なぜ「浸透しない」と言われたのか?巨大分子と鉄壁のバリア
これほど重要なコラーゲンですが、化粧品で補おうとする際には、大きな壁が立ちはだかりました。それは**「分子の大きさ」**です。
従来の「生コラーゲン」は、分子量が約30万ダルトンという非常に巨大な分子でした。一方で、私たちの肌の表面(角質層)は、外部刺激から守るためにレンガとセメントのように細胞が隙間なく並んだ、鉄壁のバリア構造になっています。
研究の結果、このバリアを通り抜けて肌に浸透できる分子量の限界は**「約500ダルトン」であることが判明しました。これが、スキンケア開発の世界で知られる「500ダルトンの法則」**です。
30万ダルトンの巨大なコラーゲンが、500ダルトンの狭き門を通り抜けられないのは明らか。そのため、従来のコラーゲン化粧品は、肌表面に膜を作ってうるおいを守る**「フタをする保湿」**が主な役割であり、「浸透はしない」と言われてきたのです。
常識を覆した「低分子化」というブレークスルー
しかし、科学技術はその壁を打ち破ります。
コラーゲンを酵素や圧力で細かく分解する**「低分子化(加水分解)」**という技術が登場。これにより、分子量を500~3000ダルトン程度まで小さくすることに成功し、コラーゲンはついに「500ダルトンの法則」をクリアできるようになったのです。
この技術革新により、コラーゲンは肌表面を潤すだけでなく、角質層のすみずみまで浸透し、内側からうるおいをサポートすることが可能になりました。
「コラーゲンは浸透しない」は、もはや過去の話。現代のコラーゲンは、テクノロジーの力で「届ける」ことが可能になったのです。
では、進化したコラーゲンにはどのような種類があり、私たちは何を基準に選べば良いのでしょうか?
第二部では、目的別に選ぶべき最新のコラーゲン4種と、その質を決定づける最先端の抽出技術について、さらに詳しく解説します。